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ショップとの対立が続く楽天の「送料無料」問題が避けられなかった理由(佐野正弘) - Engadget 日本版

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今回は、楽天について取り上げてみたいと思います。最近楽天といえば、携帯電話事業に新規参入した楽天モバイルに関する動向が大きな注目を集めており、最近でも2020年4月に本格サービス開始を明言する一方、前回の4倍となる規模の無料サポータープログラム会員の2次募集を開始するなどの取り組みを見せているようです。

ですが今回取り上げるのは、そうした楽天モバイルに関する話ではありません。楽天の本業であるEコマース事業「楽天市場」でここ最近話題となっている、「送料無料」に関する騒動に関してです。

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▲楽天は2019年に、同一ショップ内で税込み3980円以上購入すると送料無料になる(一部例外あり)よう送料の基準を統一することを打ち出しているが、それが大きな問題となっているようだ

読者の方の中でも多くの人が、楽天市場に出店している店舗から何らかの商品を購入したことがあるという人は多いと思いますが、現在楽天市場に出店している店舗が設定している店舗は、送料が有料であったり、無料であったりとまちまちであることが多いようです。

消費者の立場からしてみれば、商品の価格に加えて送料もかかるとなると、購入をためらってしまうというのは正直な所です。それだけに店舗独自の施策として送料を無料にする所も多くあるのですが、送料無料になる基準となる金額が統一されている訳ではなく、店舗によって異なるため分かりにくいのが実情です。

ですが楽天のライバルであるAmazon.co.jpを見ると、Amazon.co.jpから発送される商品は税込みで2000円以上であれば送料無料、有料のAmazonプライム会員であれば購入額に関係なく送料無料となっています。出品されている商品の多くはAmazon.co.jpから配送されるようになっていることから、送料無料になるラインが明確に決められていることが人気要因の1つになっていることは確かでしょう。

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▲Amazon.co.jpのWebサイトより。Amazon.co.jpから発送される商品であれば、税込みで2000円以上の場合送料無料と統一化がなされている

そうしたことから楽天は、ライバルとなるAmazon.co.jpに対抗するべく送料無料の統一化を検討していたようで、2019年8月1日に実施した楽天の戦略イベント「Rakuten Optimism 2019」で、正式に送料無料の具体的な内容について発表しています。この時発表されたのは、楽天市場で送料が無料になる購入額のラインが税込みで3980円からに統一されるということです。

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▲送料無料化の基準は2019年8月の「Rakuten Optimism 2019」で発表され、楽天モバイルの携帯電話事業同様大きな反響を呼んでいた

もちろん家具など大型配送便を使う必要がある商品や、クール便を使う必要がある冷凍・冷蔵の商品は対象外となりますし、2019年10月には送料が高い沖縄や離島の場合、送料無料の基準を税込み9800円からに設定することを公表するなど、いくつか例外は設けられるようです。ですが楽天は、この基準による送料無料化を2020年3月18日に開始するとしています。

この施策は、確かに消費者にとって見れば送料無料のラインが明確になり、「4000円くらい買えば送料がかからない」という計算が働くことからメリットが大きいのは確かでしょう。ですが楽天市場に出店する店舗からしてみれば、これは非常に大きな問題にもなってきます。

というのも、無料になる分の送料は基本的に出店者側が負担する必要があるからです。楽天市場に出店している店舗の中には送料が有料の店舗も多く存在しますが、今回の施策が適用されれば、楽天市場に出店している限り問答無用で、3980円以上購入した人の送料を負担しなければいけなくなってしまうのです。

特に売上が小さい店舗、利益幅が薄い店舗などは、楽天市場への出店料に加え送料も負担しなければならず、売っても売っても儲からないという状況に陥ってしまう可能性もあるでしょう。そうした店舗側の声を楽天側が受け入れることなく、送料無料化の方針を推し進めていることを出店者が問題視して声を上げるようになってきているようです。

そうしたことから2020年に入ってからは、楽天の送料無料化が優越的地位の乱用に当たる可能性があるとして、公正取引委員会が調査を始めたとの報道がなされています。また送料無料化の影響からなのか、ワークマンとウォルト・ディズニー・ジャパンが楽天市場からの撤退を発表するなどの動きも起きているようです(ただしウォルト・ディズニー・ジャパンは、Amazon.co.jpでの出品終了も同時に発表している)。

しかしなぜ、楽天が送料無料化を実現しようとするとこれだけ大きな問題になってしまうのか?というと、楽天市場の構造による所が大きいといえるのではないでしょうか。

これはAmazon.co.jpと比較すれば分かりやすいかと思います。Amazon.co.jpは企業が商品を出品するマーケットプレイス型のECサイトであるのに対し、楽天市場は企業がお店を出店する、モール型のECサイトとなっています。つまり楽天市場に出店している企業は、楽天市場の中で「店」を運営しているので、店のルールに合わせて商品を並べてもらうだけのAmazon.co.jpと比べサービスの自由度が高く、独自の取り組みがしやすい訳です。

ですがEコマースサイト側がサービスを統一する上では、その自由度が弱みにもつながってきます。特に最近は、Amazon.co.jpがそうであるように、圧倒的な規模を誇るプラットフォーマーが統一感のあるサービスを提供することで、顧客に高い満足度を与え人気を博すようになってきていることから、出店する側の自由度が高い楽天市場は構造上不利になってきているともいえるでしょう。

だからこそ楽天は、現状のモール型のスタイルは何とか維持しながらも、送料無料化を推し進めることで店舗間のバラつきをなくし、可能な限り統一化を図ろうという動きに出てきたといえます。ですが出店者からしてみれば、そうした動きが進むほど、元々確保できていたはずの自由度がどんどん失われてしまってしまい自分のスタイルに合った商売がしづらくなることから、一層大きな反発を招いたといえるのではないでしょうか。

とはいえ楽天側は送料無料化の実現に強い意志を見せており、反対する店舗側との対立姿勢は強まる一方です。それだけにこの問題の行く末は公正取引委員会に委ねられる可能性が高いと考えられ、間もなく迎える送料無料化実施までに結論が出るのかどうかが注目される所です。

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▲「Rakuten Optimism 2019」で講演する楽天の代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏。三木谷氏は送料無料化の実現に向け強い意欲を示しており、引く構えはない様子だ

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February 07, 2020 at 02:45PM
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