セレーナ・ゴメスは1992年、メキシコ移民の孫としてアメリカ・テキサス州で生まれた。
セレーナ・ゴメスの影響力の大きさは疑う余地がない。インスタグラムのフォロワー数は日本の人口をゆうに超える1億7200万人、セレーナがこれまで発表したアルバムのうち3枚が、全米アルバム・チャートで1位に輝いている。ミュージシャン以外にも、テレビプロデューサーや女優の顔も持つ彼女は、2017年におけるNetflixの最大ヒット作品の1つ、『13の理由』の製作総指揮を務めた。さらに、ジム・ジャームッシュ監督のゾンビホラー映画『デッド・ドント・ダイ』(2019年)に出演した際は、アダム・ドライバーやビル・マーレイを相手に堂々たる演技を披露した。
しかしセレーナは、地位におごることなく、むしろ自分の影響力を使って人々を励まし、団結させることに尽力してきた。17歳の時には、当時最年少でユニセフの親善大使に任命され、2008年には「UR Votes Count」キャンペーンに参加してアメリカの10代の若者に投票を呼びかけた。
また、ソーシャルメディアに対する不安や、それが若者に与えるマイナスの影響、そして自己免疫性疾患である全身性エリテマトーデス(SLE)が自身のメンタルヘルスに及ぼしてきた影響についてオープンに発言し続け、2019年には、宇宙飛行士のバズ・オルドリンや女優のジェーン・フォンダに続き、マサチューセッツ州マクリーン病院から優れたメンタルヘルス啓発活動を称える「メンタルヘルス・アドボカシー賞」を受賞した。さらに最近では、マイリー・サイラスの新しいインスタグラムの番組『Bright Minded: Live with Miley』に出演し、過去に双極性障害と診断されたことについても赤裸々に語っている。
セレーナが製作総指揮を務めるドキュメンタリー、『不法移民として生きる』より。約22年前にメキシコからアメリカに不法入国したアレハンドラは、訴訟を起こすものの45日以内の国外退去が命じられ、夫と長女と離れて暮らすことに。Photo: Courtesy of Netflix
そんな彼女は昨年10月、ドキュメンタリー作品『不法移民として生きる』の製作総指揮を務め、Netflixでストリーミング配信された。6話構成のこのドキュメンタリーシリーズは、アメリカに住んでいながらも国外追放の危機に直面している8組の移民家族を追う。アメリカ移民関税執行局(ICE)の介入によって引き裂かれた家族の姿など、そこには移民をめぐるアメリカのリアルが描き出されている。
世界中の人々が新型コロナウイルスによる健康危機に瀕している今、彼女は、水や石鹸を使えない難民キャンプで暮らし、感染に対して無防備な世界中の避難民や移民のことを考える必要があると訴える。
ドキュメンタリーでも取り上げたある移民家族を支援するため、セレーナはアラビア版『VOGUE』2020年4月号に、「コネクテッド:愛は世界を癒す」と題した記事を寄稿した。そこで彼女は、なぜ自身が声なき声の代弁者となる必要があるのか、そして移民の孫である自身がアメリカの移民政策に失望している理由を語った。またセレーナは同記事の中で、ドナルド・トランプ政権下のアメリカで生きることについて、「改善しなければならない。アメリカがこれからもアメリカンドリームを提供できるよう、そして、これからも人々により良い生活を提供できるように」と主張している。
ここからは、アラビア版『VOGUE』に語ったセレーナの家族の歴史や移民家族のストーリーを広く知らせることの重要性など、3つのハイライトを紹介する。
1. 移民家族は他人ごとではない。
27年前にアメリカ・テキサス州で生まれたセレーナは、メキシコ系アメリカ人女性であることを誇りに思うと語っている。セレーナの叔母は1970年代にメキシコを離れ、トラックの後ろに身を隠してアメリカの国境を越えた。
「私は両方の側面をとても誇りに思っている。家族はアメリカンドリームを求めてメキシコを離れることを選んだ。祖父母もそれに続き、その後に父がテキサス州で誕生した。叔母や祖父母がアメリカで暮らすことを選択していなかったら、私の今のような状況はなかったわ」
2. アメリカは移民によって築かれた国。
セレーナの話から再認識するのは、アメリカは1600年頃にイギリスやヨーロッパからの入植が始まった移民によって築かれた国であることだ。ICEによる取り締まり強化や、アメリカとメキシコの国境の壁を拡張し続けるトランプ政権下では、これまで以上に移民問題についての多くの議論が交わされている。
国家政策における移民の対処法は、国の思いやりと共感の大きさを実証するものだとセレーナは指摘する。
「移民問題は、単なる政策や政治的な議論ではない。なぜならそれが、人間の問題だから」
複雑な移民問題を一朝一夕に解決することはできない。だからこそ、移民のストーリーを広める必要があるのだとセレーナは語気を強めるのだ。
3. 変化は一緒に勝ち取れる。
皆がセレーナのような巨大なプラットフォームを持っているわけでは当然ない。けれど、だからといって私たち個人にできることがないわけではない。住んでいる国に関係なく、自国政府に政策の修正を求める手紙を送ったり、変化を実現するために投票することで誰でも抗議することがでいる。そして私たちは、不平等のない地球を実現するために抗議しなければならないのだ。
「移民や難民のみんなに、彼らのために戦っている人々がいることを知ってもらいたい。変化のために戦う準備ができている人も多くいるのだから」
Text: Hattie Collins
"問題" - Google ニュース
April 13, 2020 at 08:00PM
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「移民問題は人ごとではない。人間の問題よ」──セレーナ・ゴメスが声なき声の代弁者たる理由。 - VOGUE JAPAN
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