ジェトロは2月6日、2019年10~11月に実施した「2019年度カナダ進出日系企業実態調査」の結果を発表した。それによると、2019年の在カナダ日系企業の黒字比率は77.1%を見込んでいる(添付資料参照)。一方、景況感を示すDI(営業利益が前年比で「改善」した企業の割合から「悪化」した企業の割合を引いた数値)は、2011年度調査以来8年ぶりにマイナスになった。
景況感は8年ぶりにマイナスに
堅調なカナダ経済を背景に、在カナダ日系企業の黒字比率は前年(74.8%)から2.3ポイント増加し、2000年(81.6%)以来の高水準となった。ジェトロが同日発表した「2019年度米国進出日系企業実態調査」(2020年2月6日記事参照)では、在米国日系企業の黒字比率が8年ぶりに7割を下回ったが、在カナダ日系企業は2012年度調査から8年連続で7割台を維持した。業種別では食品/農水産加工やプラスチック製品(100%)、販売会社(88.0%)で黒字比率が高かった。
一方、在カナダ日系企業の2019年の景況感を示すDIはマイナス2.1となり、前年(16.8)から大幅に悪化した。業種別では、電気・電子機器やプラスチック製品でDIがマイナス80.0と大きく落ち込んだ。2019年の営業利益見込みが悪化する要因としては、「現地市場での売り上げ減少」(55.1%)のほか、「人件費の上昇」(36.7%)や「調達コストの上昇」(30.6%)などのコスト増が上位に並んだ。
賃金(基本給月額)の中央値は4,000~7,000カナダ・ドル
今回初めて調査した賃金と福利厚生の提供状況について、2019年の職種別の基本給(月額、各職種の中央値)は、工場ではプロダクション・マネジャー(生産管理部門の課長クラス)が7,000カナダ・ドル(約58万1,000円、Cドル、1Cドル=約83円)、メカニカル・エンジニア(機械および設備の設計・製作・管理などを行う技術職)は5,267Cドル、オペレーター(製造工程における機械の操作に従事する職種)は4,000Cドルだった。事務職では、ゼネラル・アドミニストレーション・セクション・チーフ(総務部門の課長クラス)は6,500Cドル、ゼネラル・クラーク(一般事務職)は4,000Cドルだった。従業員の2019年度の全職種平均の昇給率(中央値)は2.5%で、2020年度の昇給率も2.5%が見込まれている。
また、企業が用意している福利厚生については、「傷病手当金」(59.0%)、「社内研修制度」(56.7%)、「出産・育児休暇」(47.8%)が上位に挙がった。
(甲斐野裕之)
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February 06, 2020 at 11:13PM
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