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ロヒンギャ問題 迫害やめ帰還環境整備を | 社説 | コラム - 熊本日日新聞

 ミャンマー国軍によるイスラム教徒少数民族ロヒンギャ迫害はジェノサイド(民族大量虐殺)条約違反だとした訴訟で、国際司法裁判所は、迫害を止めるための「あらゆる措置」を至急取るようミャンマー側に命じた。

 迫害がジェノサイドか否かについては今後も審理が行われ、結論まで数年かかるとみられるが、ミャンマー政府には国際社会の一員として責任ある対応を求めたい。

 訴訟は、イスラム協力機構を代表して西アフリカのガンビアが提訴した。審理では、ロヒンギャ武装集団とミャンマー国軍が衝突した2017年以降、約74万人のロヒンギャが隣国バングラデシュに逃れ、推定1万人超が死亡したなどとする国連報告書を引用。作戦中に大量殺人や性暴力、村落破壊が行われたとして、迫害停止や実行者の処罰、被害者への賠償などをミャンマーに求めた。

 国家指導者として異例の出廷をしたアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相は、西部ラカイン州で16年、ロヒンギャ武装集団が警察署などを襲撃したため、軍が同集団の掃討作戦を行ったと説明。訴えは「不完全で誤解を招くものだ」などと反論した。

 ミャンマーは人口の約9割が仏教徒で、政府はロヒンギャを自国民族と認めず、不法移民として扱ってきた。国民の多くもロヒンギャへの差別意識を持ち、「迫害」を非難する国際社会に不満を感じていると言われる。

 来年、総選挙を控えるスー・チー氏にとって、陰りの出た人気を取り戻す機会にしたいとの思惑もあったのだろう。出廷が明らかになって以降、「国益のために闘う勇気ある指導者」として国民の人気が急上昇しているという。

 ミャンマーには今月、中国の習近平国家主席が訪れた。スー・チー氏には、ウイグル問題を抱える習氏との関係を深めて少数民族問題を共有し、内政不干渉の主張を国際社会にアピールする狙いもありそうだ。

 しかし、少数者の抑圧を許容するようなスー・チー氏の振る舞いは、民主化運動指導者としてノーベル平和賞を受賞した同氏の国際社会での評価を大きく傷つけるもので、失望を禁じ得ない。

 バングラデシュに逃れたロヒンギャ難民は100万人を超える。帰還が進まない背景には、帰国後の安全を不安視するロヒンギャの反発がある。ミャンマー政府には、ロヒンギャが求めている国籍を付与するつもりはなく自国民として迎える方針もない。それでは、ロヒンギャが「またひどい目に遭う」として帰還に難色を示すのも無理はあるまい。

 難民キャンプの環境は劣悪で帰還が長引くことは望ましくないが、ロヒンギャの意に反した帰還は許されない。スー・チー氏は帰国後の安全が保障され、ロヒンギャの自発的な帰還につながるよう環境整備を急ぐべきだ。ミャンマーと歴史的関係の深い日本を含めた国際社会も、監視と関与を継続し帰還を後押しする必要がある。

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January 27, 2020 at 03:00PM
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