
写真はイメージ。画像素材:PIXTA
新型コロナウイルスによる感染症の拡大が、外食産業を直撃している。多くの経営者・自営業者が先行きが見えず、不安を抱えた状態にある。外食産業のサポート役といえる一般社団法人日本フードサービス協会(JF、所在地:東京都港区、会長:髙岡慎一郎)は、事態の解決と正常化に向け懸命の努力を続けている。同協会の石井滋常務理事に現状と見通しを聞いた。
先行きは未だ不透明な状況
新型コロナウイルスの感染者は3月8日時点で、438例の患者、49例の無症状病原体保有者が確認されている(厚生労働省HPから、ダイヤモンドプリンセス号の乗客は含めない)。政府は全国の小中高などの学校の設置者に対し、学校保健安全法に基づく休業を要請。3月2日から全国的にほぼ休校状態となった。
2月29日に安倍晋三総理が記者会見し、感染拡大防止に全力を尽くすことを表明。同時に、政府の力だけでは解決できないとして国民に広く協力を呼びかけた。3月6日には感染の有無を判定するPCR検査が保険適用になるなど、対策を次々と示しているが、3月上旬の時点でまだ先行きは不透明な状況と言える。
見えないピークアウト、東日本大震災を超える国難か
イベントは次々と中止か延期。多くの人が外出を控えていることで、外食産業も影響を受けている。現状について石井常務理事は「非常に危機的な状況であると考えています。リーマンショック(2008年)、東日本大震災(2011年)を超える可能性があります。2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)に関していえば、感染拡大から1か月程度でピークが見えてきましたが、今回は未だに感染拡大の移行期(取材は3月5日)という政府の発表がありましたように、ピークアウトが全く見えません。この状況が続けば、少なくない中小の飲食店が資金ショートを起こすおそれがあります」と言う(以下、コメントは全て同専務理事)。
その上で「(最も感染者が多い)北海道では、売上が50%まで落ち込んでいる所もあると聞いています。都内は居酒屋、夜の食事を提供する店で外国人のキャンセルが増え、売上が落ちているという報告が寄せられています。最低でも2割程度はマイナスになっている所が多いでしょう」と分析する。また、ケータリングや弁当店なども、会議やイベントの中止で影響を受けているという。
ただし、あまり影響を受けなかったり、売上が上がったりする業態もある。自宅で食事をする人が増えたためにテイクアウト方式を備えた外食や、宅配できる店舗などが代表例。また、休校になり、リーズナブルなファミリーレストランなどに学生が集まることで、通常より客数が増える例も見られる。
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